新型コロナ:TV番組情報の備忘録メモ

新型コロナが我々を直撃しています. しかしこの新型コロナウィルスは,多くの不可解な事柄があることが分かってきています.欧米よりも日本人をはじめとするアジア人の一部が,このコロナウィルスに侵されにくいことが指摘されています.先日,東京,大阪,仙台などで行われて抗体保有率などの検査においては,0.1%程度以下となり,これはパンデミックの架橋(ピークアウトしている?)にあるニューヨークなどにおける値と比べ二桁低い値となることが判明しました.感染源が近い日本の状況において,(PCRでより正確なウィルス遺伝子の評価が必要であるが)日本人が感染率が低いにもかかわらず,IgG,IgMなどの抗体保有率が低いのは,注目に値します. どういうことかというと, ・感染したにもかかわらず抗体保有率が低いということが不思議, あるいは, ・感染していないので抗体保有率が低いということは普通だけども,だとすると,なぜ日本人がこれだけ感染しないのか?ということが注目に値する, という意味です. 先日,京都大学iPS研究所CiRA所長の山中教授とタモリさんがやっていた番組を見て,大変系統的にまとめられていましたので,門外漢ながらその要点を記載したいと思います. 【誤解釈も多く含まれるかもしれませんので,あしからず..】 ◆ 自然免疫システム(1st stage) 1.人間は,外敵な菌やウィルスが侵入することを防御するシステムとして,自然免疫システムを生まれながらにして有している. 2.細胞に必要なタンパク質を吸収するため,細胞にはそれに応じた鍵・手を有するが,新型コロナウィルスは同型のそれをもつ. 3.これにより細胞が感染する.つまりウィルスに騙されて侵入を許してしまう. 4.細胞感染すると,インターフェロン〔警報物質〕という物質がまきだされ,これにより「食細胞」が活動し,感染細胞へ急行し,感染細胞を丸呑みする.このように,感染細胞を消滅させるには,食細胞が重要な役割を果たす. 興味深い新型コロナのクレバーさ1: 自然免疫をすり抜ける新型コロナウィルスが有する遺伝子 ORF3b が存在する. → インターフェロンの量を1/10にしてしまう【東大医学研究科の研究者の成果】 → 食細胞減少 → 免疫システムが活性化していないので,熱も出ない・症状が出ない(見せかけの無症状) → その間にウィルスが大増殖 (突然やばくなる) 自然免疫システムの続き(2nd stage): 5.食細胞の伝令が 6.戦いで飲み込んだ新型コロナウィルスの断片を 7.免疫細胞(T細胞?)に伝達し, 8.新型コロナのみを攻撃する「キラーT細胞」を生成させ, 9.感染細胞を消滅させる. キラーT細胞が感染細胞を攻撃できる理由: 感染した細胞にはウィルスが持つ手が突き出されているので、これが食細胞から受け渡された伝達情報と一致すれば攻撃できる 興味深い新型コロナのクレバーさ2: 新型コロナは「キラーT細胞すら欺く」可能性が指摘. 感染細胞から手掛かりとなる「手」を隠してしまう、あるいは分解される・・・ これによりキラーT細胞が無力化されてしまう. ◆ 獲得免疫(3rd stage) これは,自然免疫システム以上の,更なる免疫システムである.キラーT細胞で不十分な時に更なるシステムが駆動される. 1.伝達にかかわる食細胞がB細胞と接触し, 2.これによりB細胞は 抗体(Y字形状)を作り出す. 3.これは飛び道具であり,新型コロナウィルスの鍵にくっつくことにより, 4.細胞の有する鍵と不一致が起こり,感染できなくなる. 5.行き場を失ったウィルスが食細胞により食われてしまう. 以上は,ワクチンが重要な役割を果たすと考えられる. ◆ サイトカインストーム(Extraordinary stage) 免疫システムの暴走のことであり,これにより重篤化する.免疫システムが機能しなくなると過剰防御反応として発生してしまう. 1.食細胞が自爆して,中からネバネバしたDNAを吐き出し,ウィルスを巻きつけて捕獲する捨て身の攻撃 2.この捨て身の食細胞自爆攻撃が,過剰に活性化してしまうと,周囲の血液成分まで固めてしまう 3.これにより「血栓」が起こり,様々な病気を引き起こして死に至る. 免疫暴走を抑える薬: アクテムラ リウマチなど ステロイド 喘息など フサン 膵炎など 以上は,治療薬などとして有望とされているようです. ◆ 世界的な疑問・科学的興味 なぜ,人種によって罹患率が異なるのか? 【仮説】獲得免疫システムにおいて伝達食細胞がB細胞に伝える際に,手の形が異なる可能性がある。 これまでの臨床的結果で,ものすごく多い抗体を作り出さる人と,そうでない人と個人差が大きいことが分かってきているが,そのような抗体を多く作り出せる人と出せない人の差は、遺伝子HLA型の種類ではないか? ということが言われている. 最新の研究による治療薬あるいは予防薬として: この様に一旦罹患した抗体を多く作り出せる人の血液からB細胞・抗体を取り出して培養することにより,それを他の患者に注入して治療するという方法が効果的であるとのこと. ◆ 素人の所感 以上をまとめてみてやはり不思議なのは,新型コロナ患者の罹患率が低い日本人の抗体保有率の異常な低さである. 1.B細胞 → 抗体産生していないのである. 2.あるいは抗体産生されても,すぐに消えているのかもしれない. (High entropy alloyにおけるVacancyと似ている.存在するの?即消滅するの?) 1であれば,自然免疫システムの段階で,日本人をはじめアジア系の人たちは,自然免疫システムの第一段階である食細胞あるいは第二段階であるキラーT細胞が相当の重要な役割を果たしている? ここにもHLA遺伝子は関連するのか? 2であれば,抗体が消滅する速度が異常に速い?しかし,欧米人が抗体が保有され,抗体検査でIgM,IgGが検出されているとするならば,そこまで急速に抗体が消滅するとも考えにくいのでしょうかね...Nature Medicineには抗体が急速に消滅するという論文が出ているようですが... 本来,大学という公的な研究機関の専門的な科学者の立場として,このような異分野の事柄について述べるのは好ましくない事ではあると思いますが,それでもなお素人であってもその病理メカニズムや治療薬などの作用機序などは,一定の理解を持っておきたいという願望にかられるものです.以上のことは,誤解釈も多く含んでいる可能性もありますことを記載しておきます. メモ書き:市坪